イタリア

イタリアの年越し コテキーノとレンズ豆

 

大晦日ですね〜。2023年も今日が最後。年越しそばやおせちの準備など、新年を迎えるのに忙しくされていることと思います。

イタリアでも大晦日(ultimo dell’anno)は、年越しのご馳走(cenone)を準備し、家族や親しいひとと食べたり飲んだりして過ごします。

ヴェネツィアに住んでいたときは、年越しの料理は姑が作ってくれていました。たらふく食べ、真夜中になったら、カウントダウンと花火を見に、寒いなか、サンマルコ広場へ出かけましたっけ。

また、年末年始はヴェネツィアを離れ、フリウリにある義父母の山の家で過ごすことも多かったのですが、そんなときも、やはり姑が作ってくれるか、レストランに行くので、恥ずかしながら、結局、一度も自分で料理したことがない…。

そんなふつつか者ながら、わたしが食べたイタリアの年越しの料理をちょこっとご紹介したいと思います。

 

イタリアでは大晦日になにを食べるか。

イタリアは地方色豊かなので、地方によって異なります。コンソメスープで煮たトルテッリー二を食べる地方、ラザーニャという地方、いろいろありますが、わたしが住んでいたヴェネツィアや北東イタリアでは、コテキーノとレンズ豆(cotechino e lenticchie)。これがもっとも典型的な年越しの料理といっていいでしょう。

コテキーノとは、直径9センチ、長さ25センチほどもある、大型の豚肉のソーセージ。皮の部分に豚の皮を用い、豚肉、背脂、ナツメグやクローブといったスパイスで味付けされています。

超粗挽きで肉の歯ごたえを残しており、ところどころ軟骨のようなコリコリした歯触りのものが入っていて、ソーセージというより、肉、という感じの食感で、豚の脂の甘みも相まって、とてもおいしい。

これを茹でたものに、レンズ豆の煮込みを添えたものをよく食べます。レンズ豆はその形状が硬貨に似ていることから、新しい年、金運がいいようにという縁起物なのだそうです。

また、コテキーノによく似たものに、ザンポーネ(zampone)というのがあります。こちらはくり抜いた豚の足をそのままソーセージの表皮として使うため、見た目が豚の足(ザンポーネ)そのまま。

ザンポーネとレンズ豆も大晦日によく食べます。豚とレンズ豆の組み合わせは、繁栄と金儲けの象徴なのだそうです。

縁起物として、ほかにも、ざくろ、クルミ、栗なんかが食卓によくならびます。ざくろは赤い色をしていることから、生気、エネルギー、また、粒がたくさん詰まっていることから富を象徴。クルミ、栗には、繁栄、安定、厄払いの意味があるそうです。

 

デザートは、日本でも昨今おなじみのパネットーネ、あるいはパンドーロという焼き菓子。どちらも高さ30センチほどあり、切り分けて食べます。

パネットーネはレーズンなどドライフルーツが入っている、甘いパンという感じ。パンドーロは粉砂糖がまぶしてあって、質感はパウンドケーキに近いかな。

これを食後に、デザートワインといっしょにいただきます。洗練されたデザートを見慣れた日本の人から見たら、素朴きわまりない、ただの甘いパンだけど、イタリアの年末年始はこれなんですよね。

あと、ストゥルフォッリ(strufolli)というお菓子があることを最近知りました。ナポリを州都とするカンパニア州のお菓子で、小麦粉をビー玉の形に捏ね、揚げて砂糖をからめ、カラフルな色ざらめをまぶしたもの。

ヴェネツィアでは食べたことがありませんでしたが、今年、東京で、イタリア人の家ではじめていただき、その存在を知りました。こちらは見た目がかわいく、インスタ映えするかもしれません。味は素朴。ナポリ地方のお菓子だったのが、昨今では全国的に知名度が上がってきているそうです。

 

年末年始は食べて、飲んで、縁起をかついで…。イタリアも日本も変わりませんね。Tutto il mondo e’ paese ということわざの通りです(ところ変わっても人間がやることに大差はない、という意味)。

新年が平和で健やかな年となりますように。良いお年をお迎えください。

 

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トリリンガル・マム
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