語学

英検1級レベルの語彙になるとイタリア語と似た単語が多い

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英検1級の「出る単」を勉強し始めたら、イタリア語とよく似た言葉をたくさん発見

英検1級受験のため、難解と言われる語彙の勉強を始めたところ、イタリア語とそっくりな単語が多くあるのに驚いた。平易なレベルの語彙だと、英語にイタリア語に似た単語はあまりない。初めてイタリアに旅行したとき、stationがstazioneだと知り、浅はかにもこれなら楽勝と思ったのは束の間、hotelはalbergo、waterはacquaで、似ても似つかない。あー、英語とイタリア語は別物、近道はないんだと思い知り、それから20年超。

イタリア語で仕事することのほうが増え、イタリア語検定試験CILSの最上級レベルC2は取得したが、その分、英語と離れてしまい、英検1級はハードルが高そう。おそるおそる英検1級の語彙を見てみたところ、やはりなじみのない単語が多い。読むだけだとなかなか覚えられないのでジョギング中に音声で聞いてみると、あれ〜?イタリア語と似た言葉がたくさん聞こえてきてびっくり。これって、英語でも上級になるとイタリア語と似た言葉が増えるってこと?

イタリア政府認定のイタリア語検定試験CILS:https://www.iictokyo.com/certi/cils.html

Trait/tratto(特徴)、scrupole /scrupolo(良心の咎め)、vulnerable/vulnerabile (弱い、傷つきやすい)…形も意味もよく似た言葉がかなりある

例えば、morsel(食べ物のひと口分、ひとかけら)はイタリア語ではmorsoで意味も同じ。”Ho dato un morso al pane(パンを一口かじった)”って感じで使う日常的な言葉だ。英語だと”I had a bite of bread”。私はこれまでmorselなんて言葉は知らなくてずっとbiteを使ってきた。

同様にmatrimony(結婚)はイタリア語では matrimonio。意味も同じで、これもイタリアでは”Anniversario di matrimonio (結婚記念日)”とか、”Maria non e’ venuta al mio matrimonio. (マリアは私の結婚式に来なかった)”とかいうふうに日常的に使う。英語だと marriageやweddingだが、matrimonyという言葉もあるとは知らなかった。

他にも、insipid (無味乾燥な、おもしろくない)がinsipido。rancor(憎しみ、うらみ)が  rancore。delinquent(非行の)がdelinquente。amicable (友好的な)がamichevole。obsolete(時代遅れの、廃れた)がobsoletoと、形も意味も似た言葉がたくさんある。

英語でも上級語彙を知らないとイタリア語への近さに気づかない

なんで今まで気づかなかったのだろう…?トリリンガル・マムなんてブログを書いていながら不勉強で恥ずかしいのだが、それは私が今まで上級の語彙を使う必要がなかったからだ。私がやってきたような仕事−米系広告会社で広告を作るというような仕事−では、消費者に訴える平易な言葉使いが求められたし、その後フリーになって散発的にやった映画関係の通訳や翻訳では、俳優や監督へのインタビューなどの内容が主だった。上級語彙を知らなくてもなんとかなったのだ。また、イタリア語初級のころはイタリア語の語彙も少なく気づかなかったのが、レベルが上がるにつれ語彙が増え、その存在に以前より気づくようになったのかもしれない。

「ラテン語起源の単語は英語では上級語彙」と教えてくれたak2006romaさんのブログ

英検1級レベルの語彙になると、イタリア語とそっくりだったり、似た言葉が多くなる。この、自分的には大きな発見(言語学者さんには常識?)に興味を持って、ネットで調べてみたところ、ak2006romaという方のブログで、「雑感:イタリア語は英語と似ているか?」という記事のなかにとても的確な指摘を見つけた。

https://roma200609.exblog.jp/5915768/

「『ラテン語起源の単語は、英語では上級語彙である』と、英語の授業で聞いたことがある。」

「イタリア語と英語との『遠さ』は、特に、日常生活で普通に使う、我々が「易しい、初級」と感じる単語に多い」

これを読んで膝を打った。そうか、そうなんだ。だからイタリア語を覚えて何年かの初級レベルの間は、英語との近さに気づかなかった。また、英検1級の語彙を勉強しようと思い立つまでは、英語も平易な日常レベルの語彙しか使っていなかったから、イタリア語との近さに気づかなかった。イタリア語がC2レベルまで到達して、英検1級を受けようと思って、初めて見えてきたというわけだ。

英語で日常的によく使う言葉はゲルマン語由来。ちょっとレベルが上がるとラテン語由来の言葉が増えてくる。

もうひとつ参考になったのがKazetoriさんという方の「やるせな語学」というブログ。

http://yarusena-gogaku.com/2019/03/15/latin-english/

上述サイトより引用させていただくと、

「英語はラテン語の直接の子孫ではないにもかかわらず、フランス語を経由して、ラテン語から多くの語彙を取り入れてしまいました。」

「英語の語彙の特徴を簡単に言うと、日常的によく使う言葉は(英語のそもそもの親である)ゲルマン語由来の言葉も多いです。day  take  like  food  dark  night

こういった基本的な日常語にはゲルマン語由来の単語が多い傾向にありますが、私たちが高校以降で習うようなちょっとだけ高尚な言葉には、断然ラテン語由来の割合が増えてきます」

なるほど。イタリア語はラテン語系の言葉である。だからレベルが上がり、上級語彙になると、ラテン語系の言葉であるイタリア語の言葉も増えてくるわけか。Kazetoriさんのブログではいろいろな外国語を比較研究した記事が満載でとても勉強になる。私も今回初めて知ったのだが、おすすめです。

見た目が似ていても意味がちがう言葉もあるので要注意

とっつきにくかった英検1級語彙だが、イタリア語に似たものも多いとわかり、なんとかなるかもという気持ちになってきた。ただ、見た目が似ていても意味がちがう場合も多いのであなどれない。英語のfastidious は気難しい、口うるさいの意味だが、それにそっくりなイタリア語のfastidiosoは、気むずかしいという意味もあるが、めんどうな、わずらわしいという意味で使われることが多い。odiusとodiosoも似ているが、odiusは不快なという意味で、odiosoは憎らしいとかイヤなという意味である。ひとつひとつの言葉には由来や歴史があるので、十把一絡げな推測はできないということか。

あーあ、外国語の学習はキリがない。まあ、それだけ奥が深くておもしろいということでもあるのだが。

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トリリンガル・マム
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