語学

香港デモと英語力 ー英語で直接、国際社会に訴えられる強みー

HK protesters' English Skills

国際社会が固唾を呑んで事態の行方を見守っている香港の抗議運動。先日、林鄭 月娥(キャリー・ラム)行政長官は改正案の撤回を表明し、香港の民主化を求める市民たちが最初の勝利を勝ち取った。香港市民が優勢に立った理由のひとつとして、香港の人たちの英語力がおおいに物を言ったと思う。

抗議運動の代表的存在の香港民主活動家、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏、周庭(アグネス・チョウ)氏らが英語で直接、国際世論に訴える。デモに参加している普通の高校生、一般の人たちも、外国メディアからの取材に英語で考えを述べる。SNSを駆使した発信力もさることながら、英語力がなければ、タイムリーに国際社会に向かって発信することはできなかっただろう。周庭氏にいたっては日本語も堪能で、日本語でも発信している。語学力がいかにものを言うかの例だと感じ入った。

同じことを、通訳を介してやっていたらどうだったろう?時間もすごくかかるし、市井の人々の言葉まではなかなか伝わらない。切実感や迫力も同じ熱量では伝わらなかっただろう。

香港の人たちは自分たちの母国語ではなく、メッセージを届けたい相手側(民主主義国アメリカほか国際社会)の言語−英語−を使うことにより、相手側の土俵に入り、相手の論法の型に則って訴えかけた。メッセージをタイムリーに、的確に伝えるのに、そのほうがより効果的なのは明らかだろう。SNSなど、書き言葉にしても同様である。

日本がもし香港のような事態に陥ったとしたら、私たちは彼らのように、英語で直接、タイムリーに、国際世論に訴えかけることができるだろうか。

香港の人たちが英語に堪能なのは、英国植民地だったという歴史的背景があってのことで、単純に日本と比較できないが、英語が事実上、世界の共通言語となった今日、それを使いこなせるのはやはり大きな強みだと再確認させられた。

英語は手段でしかない、という意見をときどき耳にする。英語を習得することが大事なのでなく、英語を使って何をするかが重要だ、と。一見、もっともらしく聞こえなくもないが、長年外国語と取っ組み合ってきた筆者からすると、語学の勉強の奥深さというものをわかってないな、と思う。外国語を学ぶというのは、そんなメカニカルで表層的なことではない。

外国語を勉強していると、その国の文化、メンタリティー、習慣、歴史といったことに、嫌でも目を向けさせられる。異文化を理解するため、自分自身のものの見方を見直したり、心や精神をオープンにするといった努力が強いられる。その過程で、外国語も上達するし、文法以外のたくさんのことを学び、成長もする。そういうことの延長線上に、英語を使って何かをする、ということになるわけだ。それは決して「手段でしかない」ようなことではない。

香港の人たちは今回の抗議運動で、いかに語学力が武器になるかを示した。

 

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StockSnapによるPixabayからの画像 

 

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トリリンガル・マム
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