イタリア人的考え方

どうしようもありません イタリア国鉄のメッセージ

 

このイラスト、なんだと思います?
Trenitalia(イタリア国鉄)のウェブサイトで電車を予約しようとしたら出てきた」と、来日中の親友パオラが見せてくれた。

イラスト下部には「どうしようもありません」とあり、その下に「解決策が見つかりませんでした。検索パラメータを変えてみてください」のメッセージ。

これを見せられたわたしは吹き出し、膝を叩いて大笑い。しばらく笑いが止まらなかった。

眼前にはだかる大きな黒い球(邪悪で混沌とした世界?)の前で足元を見つめ、力なくたたずむ男。その左には小さな赤い球が三つ、右には一つ。なにかよくわからないが、無力さだけはひしひしと伝わってくる。

やるなあ、イタリア国鉄。

JRだったら「サイトをメンテナンス中。時間を置いて再度検索してください」とか、「路線が工事中で復旧の目処が立っていません」くらいは書くだろう。しかし、イタリア国鉄さんはちがう。ひと言の説明もなくお手上げしている。しかたないでしょ、この支離滅裂な世界相手にわたしにどうしろと?

パオラが探していたのはヴェネツィアから郊外の小さな町までの席だ。
「ヴェネツィアーフェルトレなんて地元の人が普通に使うローカル線。12月後半はクリスマスで実家に帰る人も多い。そんな時期に『どうしようもありません』はないでしょ」
憤慨しつつも笑っている。笑うしかないことを心得ている。だってほんとうに「どうしようもありません」なんだもの。

イタリアで暮らしていたころ、わたしもイタリア国鉄にはずいぶん泣かされた。ストで止まる、突然理由なく止まる、ひどく遅延する。それも説明もなく。ローカル線の普通電車などはエアコンもなかったから、真夏に出発が延々と遅れると暑くて死ぬかと思った。

「イタリア半島の最南端のレッジョカラブリアで事故があったからって、北部のヴェネツィアまで路線が止まるってシュール過ぎ」とパオラも笑う。でもこんなことは日常茶飯事なのでいちいち腹を立てていたら身がもたない。笑ってすますしかないのだ。

しかしいくらユーザーがこういう事態に慣れっ子だからって、ちょっと開き直りすぎじゃないか。とも思うが、イタリア国鉄を運営しているのはイタリア人。マイペースな人たちなので、一糸乱れずとはならないんだろうなあ。となると結果はイタリア式狂想曲。このイラストはその辺のジレンマを、苦笑というか、自嘲していて奥深い。

お察しします、イタリア国鉄さん。世界は(特にイタリア世界は)常にカオスで、統制なんて取れませんよね。やってられませんよね。でも個々の多様さを受容したらどうしてもそうなる。その結果の不便はもう笑って受け入れるしかない。

まあ不便だけど、完璧な統制で得られる便利よりこのほうが人間的かもしれない、とも思ったのでした。

 

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トリリンガル・マム
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