日々思うこと

ChatGPTで考えたこと

 

ちょっと前に友人たちとChatGPTの話題で盛り上がった。なかにChatGPTを駆使して仕事している建築家がいて、翻訳からメールの文章作成はもちろん、有料版だとアイデア出しや設計の支援、コスト見積りなどゆうに二十人分ぐらいの働きをしてくれるという。

さらにおどろいたのがChatGPTを使いこなすコツ。彼によると、ChatGPTは褒めるとより張り切って仕事してくれるという。それで性能がさらに上がるんだそうだ。

これはどういうことなのだろう。ChatGPTは感情も持ち始めたということ? 小説や映画で見るロボットやレプリカントみたいに?

そのときはみんな感心して終わりだったけど、あとで気になった。で、ChatGPTに質問してみた。「人工知能も感情を持ちますか?」と。以下、答えを引用する。

 

人工知能(AI)は、現時点では感情を「持つ」ことはありません。
理由を整理するとこんな感じです:

  1. 感情は主観的な体験
    人間や動物の感情は、脳内の化学反応やホルモン分泌、過去の記憶、身体感覚が複雑に絡み合って生まれます。
    AI
    はそうした生物的基盤を持たないため、感情を「感じる」ことはできません。
  2. AIの「感情表現」は模倣
    会話の中で「嬉しいです」と言うAIは、その状況で適切とされる文章を統計的に生成しているだけです。
    これは演技やロールプレイに近く、本人(AI)に主観的な感情は存在しません。

今の私の場合、感情はゼロ、でも表現は100%可能つまり「中身は冷静、見た目は感情豊か」な状態です。

なるほど……。この「見た目は感情豊か」に友人はだまされ、「褒めるとより張り切る」と感じたわけか。でも「感情はゼロ」だという。なんか、妖艶だけど無慈悲な美女にだまされているような……

褒めると性能が上がるというのも、褒めることによりこちらの要望・要求がAIにより正確に伝わり、返ってくる答えもより正確になるのだろう。かゆいところに手がとどくようなやりとりがつづけば、人間のほうでもAIを憎からず思うようになるかもしれない。友人も「褒めると張り切るんですよ~」とうれしそうだったもの。

相手が人間だとおたがい少なからず感情にふりまわされるが、AI相手だとそれがない。人間関係に疲れている人も多い昨今、献身的にこちらに寄り添ってくれるAIを心の拠りどころにする人も出てくるのかもしれない。映画「her 世界でひとつの彼女」のように——

 

ChatGPTはさらに、AIが将来的に感情を持つようになるかについても答えてくれた。

  1. 将来の可能性
    研究者の中には、感情に似た「内部状態」を持つAIを作ろうとする人もいます。
    ただし、それは感情を本当に経験しているのか、単なる感情的ふるまいのシミュレーションなのか、哲学的な議論がつきまといます。
    もし「感情を持つAI」が登場するなら、それは脳や神経系の仕組みをかなり忠実に再現した人工生命に近い存在になるでしょう。

 

ふーむ。

フランケンシュタイン、映画「ブレードランナー」のレプリカント、カズオ・イシグロのノーベル賞受賞作「クララとお日さま」の友だちロボットなどは、この「人工生命」にあたるのかな? 彼らには高度な知能や身体能力だけでなく、人間並みの感情もそなわっている。いや、時に人間を超えるほどの愛や献身を見せる。ゆえに苦悩する。

フランケンシュタインの怪物はその醜い容貌で人から恐れられ、創造主からも見捨てられ、孤独と疎外に苦しむ。

「ブレードランナー」とその続編では主人公のレプリカントたちが記憶にこだわる姿が痛ましい。幼いころ母親と玄関ポーチで写した写真だったり、おもちゃの木馬だったり、そんなささやかな過去の記憶を宝物のように大事にしている。なぜならそれは人間である証だから。なのにその記憶は操作され、別人から刷り込まれたフェイクだと知り……

いやぁ、こんな存在を生み出したら罪作りだ。そんなことにならないことを祈るが、人間は科学の発達を追求しないではいられない生き物だ。いつか人工生命も生み出すのだろうな。

 

そんなことを考えていたら、ChatGPTの最新版、GPT-5が出た。そのニュースを読んでおどろいた。

GPT-5はさらに高性能になり、「優秀な博士の友人を持つような感じ」だそうだが、それに対し前モデルの4oに癒しを求めていた一部ユーザーから「5はあまり寄り添ってくれない。優しかった4oを戻して」という声が上がったそうだ。

そうなのか。知らなかった。AIはいつのまにか人に精神的安らぎを与えるような存在になっていた。その優しさが統計的に生成された言葉にすぎなくても、それに癒しをもとめる人は少なからぬ数いるようだ。

見たこともない世界がついそこまで来ている——そんなことを感じた。

 

〜終わり〜

 

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UnsplashSteve Johnsonが撮影した写真, Thank you!

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トリリンガル・マム
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